ノロの悪夢去り行く


相変わらず腹は痛く体は気だるいが、どうにか粥を食することができた。本当に調子が悪い時は食事すら食えなくなるものだ、と改めて病の恐怖を思い知る。来年からは百鬼夜行のマスコミ業界、このような脆弱な肉体では乗り切れぬな(今回は体力というかとばっちりというか)と、改めて体を鍛えることを誓ったりする。元旦には高校の陸上部OB会イベント「元旦マラソン」がありますしね…


しかしこうして食えるものが食えなくなる恐怖を実感し、飽食で何でも食べられる時代とはいいつつも食えるものは食っておかねばという考えが頭に浮かぶ。


そこで今度食そうと思ったのが中国料理「火鍋」である。


「火鍋」とは中国のしゃぶしゃぶみたいなもので、ラム肉を使用し、薬味をたっぷり使用した激辛のスープにそれをつけて食べるという健康でヘルシーで熱くてきつい料理なのだ。知ったのは森見登美彦夜は短し歩けよ乙女』で主人公である先輩が、憧れの黒髪の乙女に為に彼女の欲しがる絵本をかけて火鍋を食う場面を読んだからによる。異常に熱くされた室内に、異常に辛い火鍋、熱い麦茶、舞う冷たい西瓜と冷たい麦茶の誘惑、李白氏の笑み、挑戦者の断末魔の叫び、失神、そして彷徨…胃を侵されつつこんな文面読んで食いたくなる俺はMかと勘繰りたくもなるが、興味が湧いてしまっては仕方がない。


ちなみに『夜は短し歩けよ乙女』ではこのような紹介が成されている。


「舌の上に広がるその味は、もはや味というよりも、荒削りの棍棒を用いたひと殴りというべきで、下鴨神社を中心とした半径二キロメートルに存在する「辛さ」という概念を、一切合切この鉄鍋に拾い集めて煮込んだのではないかと思われるほど辛かった」<「深海魚たち」より抜粋>


病が癒え、予餞会が無事終われば食べにいこうかと思う。