南木佳士の日々


このヒトの作品ばかり読んでいる。基本的に重い作品は大嫌いで、妙に教訓めいていたり、人生を唾棄していたり、また賛美していたり、そういう妙な気負いが重い作品、所謂「純文学」にはある気がして嫌で仕方が無かった。やはり作品は面白くなきゃいけない、さる題目について考えて考えて考え過ぎて作家本人も自家中毒を起こしかけているような文章を読まされては、脳内が汚染されてしまうようで、どうにも精神衛生上よくない。


しかし南木佳士は、重いし、教訓めいていたりするのだが、押し付けがましさがないのがいい。これは俺の独り言だよ聴きたけりゃ勝手に聞きな、という捨て鉢のような落ち着いた感覚がいい。今日も『神かくし』という短編集を読んだ、昨日バイトの帰りにも喫茶店で読んだのだが、読んでいるこっちが神かくしに会いそうな内容だった。