宮澤賢治『シグナルとシグナレス』


この人はなんと幻想的な想像をする人だろうと思った、本当に幻想的だ。


舞台はとある電車の線路、シグナルとシグナレスはそこに立っている信号だったりする。シグナルは本線の信号機、シグナレスは支線の方、一応前者が男性、後者が女性として描かれている。登場人物はシグナルに付き従う、じいや、見たいな本線電信柱だったり、恋仲のシグナルとシグナレスを見守る倉庫だったりする。どうやら本線と支線では身分の違いがあるようで、シグナルはシグナレスに求婚するが、電信柱に止められてしまう。


君の為なら、例え列車が来たって腕を下ろさないでいたっていいんだ、と言ったり、少し判りにくいですが昔の列車の信号機は腕木式とか言ったりするらしいんで、青から赤に変わるとき、またその逆も木の棒が動くんですね。いわゆる職務放棄なんですが、そんなことしたって君の為なら構わないってこと、宮澤賢治の書く文章はこういう情熱的文章が多いように感じます。


宮澤賢治って人はまったく、摩訶不思議な人だと思う。