『半分の月がのぼる空6〜life goes on〜』


まだ書き終わってません、痛い痛い、石とか投げないで、というかこれを読んでたから書けなかった、書かなかったわけですが・・・。


僕たちはこの小さな街で手を取り合って生きていく・・・


正にこんな感じ。


主人公の裕一は、やっとこさA型肝炎から快復したものの追試でまさかの発熱、そして留年と相成り、もう一度2年をやることに。一方、心臓の弁膜の移植手術が一応成功した里香は18歳ながら1年生として裕一と同じ学校に通うことになった。


夢のような学園生活、と思いきや、裕一はダブった為にクラスでの生活は決して楽しいものではなく。里香はそのかわいさのあまりクラスの女ボスから嫌がらせを受けるが、数々の医者や看護婦を手玉にとった里香がそんなものにめげるはずもなく、逆に相手を孤立させる恐ろしさを発揮する。


日常は恐ろしいほど平穏に続く、裕一と里香の友人である司とみゆきは淡い恋心と共に二人で東京へと出るということを決める。これまた友人の山西は東京か大阪の三流大学へアタックをかけていく。


そして平穏な日常は続く、年末、里香は神社でアルバイトをし、女ボスもそこで同じように巫女をしていて静かに和解を果たす。そのバイト代で、裕一、司、里香の3人で伊勢うどんを食べに行く描写がなんとも伊勢っぽい。


ある日里香の主治医の夏目呼び出された裕一は、里香の心臓が持って10年であることを告げて、それから人生をやり直すことができるよう準備しておけと、残酷な言葉を裕一に突きつける。夏目はその日を最後に伊勢の病院からいなくなる。


入院中散々殴られた看護婦の亜希子さんに、伊勢で生活していくことを語る、決して悪い街じゃない、寂れているけれども、人は温かいし、何よりも里香がいる。


何事もない日常は静かに幕を閉じていく、物語は恐らくこれで終わらず、裕一には残酷な結末が待っているのかもしれません、しかし1人の人間を、これほどまで、一生を本気で添い遂げようとすることができたのなら、どれほど幸せなことか。


先日、西海のおっさんが突然俺に向かって真顔で「男は守るものができれば強くなる」その通りなんでしょう。志一つでも生きていける、だけどそこまで自分も強くない、ただ自分を投げ出してでも守りたいものがあれば・・・就職活動も変わってくるのかもしれません。


こんなあまりに普通で、伊勢という片田舎、いや自分は桑名なんてもっと片田舎ですけど、での物語を、いろいろ考えさせてくれて、すばらしい物語に仕上げた橋本先生に感謝しています。


この方、ちなみについに新潮社からもデビューが決まった方で、ひょっとしたら相当フィーバーする作家さんかもしれません、要注意。


俺の守りたいのは今のところあの兜ぐらいよ・・・