『晏子1・2』宮城谷昌光著 新潮社


楽毅』に続き宮城谷作品、管仲に支えられた覇者「桓公」の時代を終え、中興の祖「頃公」の時代を迎えた斉で活躍する将軍「晏弱」と、その子であり管仲と並んで最高の宰相とされる「晏嬰」の親子二代に渡る波乱の生涯を描く作品、「晏」という字がうまく出しにくいので名前である「弱」と「嬰」で通させてもらう。


弱は宋から亡命した人物で、斉候と並ぶ高氏に仕えていた。ある時会盟を開かんとした北の盟主たる晋が、斉に解明に参加するように使者を送るが、頃公は使者を馬鹿にして追い返す、そのままではまずいということで高氏を晋に派遣するのだが、命が狙われていると知るや高氏は逃げ帰ってしまう、代わりに弱が使者となり晋に行くことになる。妨害や命の危険を顧みず使者としての役割を果たした弱は、頃公続いて霊公の信頼を得る。


庇護者であった高氏が崔氏によるクーデターで敗死するも、崔氏によって弱は引き立てられる。複雑な心境ながら自らに安住の地を暮れた斉の為、弱は東の国「莱」の攻略に取り掛かる。攻め取るだけでなく、完全な併呑を成し遂げた弱は霊公の大きな信頼を得る、正に前途洋洋とした人生のように見えるが1つ気がかりがあった。息子「嬰」である。


弱が武人であり堂々とした体躯をしているのに対し、嬰は20歳になっても身長140にも満たない。ただその気迫は猛烈なものであった、正論を大音声で述べ、諫言を辞さぬその姿勢は己の身を危うくするともされたが、一応霊公に受け入れられる。折りしも、父である弱が死ぬ。正道を正論とともにいこうとする嬰の、至上最高の宰相と呼ばれた過酷な生涯が今始まるのである。


「嬰」の諫言がかなり痛快です、何だかこういう小さいけど気合はヤバイっての憧れます。自らがでかいから気合が合ったり声がでかかったりしても当たり前ですからね…3・4巻もまた書評します、お楽しみに。