『戦場特派員』橋田信介著 実業の日本社


名前に覚えがある人もいると思う、その生き様と気丈な奥さんで有名になった、イラクで亡くなった戦場カメラマンである。この著作では著者が体験した戦争、ベトナムカンボジア、そして湾岸、本当に生々しく戦場の実体が語られている。


著者の訴えは壮烈で、食人という忌むべき行為を平和国家たる日本の視点から見て「野蛮だ」等と判断してはならないと訴え、またそういう写真から目を背ける大手マスメディアを蔑視する。戦場にて危険なところに記者を生かせようとしないまた行こうとしない大手マスメディアとその記者を「ジャーナリストが危険になるとビジネスマンになる」と痛烈に皮肉る。日本の平和国家という姿勢を露骨に批判しているわけではないが、カンボジアで警察官が殉職したのを踏まえて、余程の覚悟がいることであると現実を突きつける。


印象に残ったのは初めての戦場であるベトナムで、激戦の最中にさる農民の家族が家具を積んだ荷車を押しながら戦場をトボトボと歩いている光景を見たシーンのことだ、彼らは自分達で作った家具を売りにいく途中だという、どれだけの戦場でも人々はどこかで普通の日常を送っていることに愕然とする。


アフガニスタンについて書かれた同様のような本を読みましたが、それ以上に内容は壮烈で、まだ途中なのですがどんなことが書いてあるのか、相当な覚悟をしながら読まなきゃいかん感じです。