『世に棲む日日2』司馬遼太郎著 文芸春秋刊


主人公は吉田松陰から高杉晋作へと移っていく。松陰は世界を知ろうと米国船に密航を企て失敗、あげく自ら自首して罪人となる。面白いところは罪人となったのに妙に晴れやかな姿をこの人物がしていることだ、獄中の人物に進んで教えを請うて人望を集め、小さな私塾では高杉や久坂らと語らう。


しかし時勢は彼を亡き者にする、安政の大獄という地獄の大釜は開き、人の誠を信じ時勢の困難と攘夷を説いた彼は斬首に処される。物語は高杉晋作へと移る、高杉もまた妙なところがある、奇兵隊という藩の根幹を打ち砕かんような制度を作った男ながら実に家にまた藩に従順で、逆らわないように逆らわないようにしていく。高杉という人間は時勢を作ったのではなくて、彼がいたが故に時勢ができてくる、そんな変わった人物なのかもしれない。


松陰という一つの思想を体現する装置が死んだ後、その思想を具現化させる「高杉晋作」という人物が何を考えていたかは非常に興味深い。


写真は昨日買った2冊「世に棲む日日2」「さみしさの周波数」であるが、乙一の「さみしさの周波数」よくよく見てみると「失はれる物語」と入ってる短編ほとんどかぶっとる、やられた―