『銀河鉄道の夜』
最近なぜか宮澤賢治にはまっている、昔は小学校とかの教科書で読まされてなんだこのつまんねえ作品はとか思ったりしたけど、これがなかなか大人になって読むといろいろと考えさせられるところがある。
『銀河鉄道の夜』は、ジョバンニとカムパネルラの二人の物語ではあるが、これにも様々なバージョンがあるようで、宮澤賢治という人は書きあがった原稿に繰り返し筆を入れていく人であったらしい。
特に青年と少女が乗ってきて、パフィシックという海で氷山にぶつかって船が沈んだ、というセリフが語られるシーンがあるのだが、これはタイタニック号事件のことである。こんなことも注意深く読むと発見できて面白い。
そんな『銀河鉄道の夜』から好きな言葉を一つ。
燈台守『何がしあわせかわからないです。ほんとうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進む中でのできごとなら峠の上りも下りもみんな本当の幸福に近ずくひとあしずつですから』
青年 『ああそうです。ただいちばんのさいわいに至るためにいろいろのかなしみもみんなおぼしめしです』
知っている人は知っていると思うがこの話、意外に無惨な結末を迎える。宮澤賢治という人は計り知れないなあ、と思う。