如月の夜の煩悶


やっとこさ小学館エントリーシートを書き上げて提出、すっかりぐったりべったり、いっぱいいっぱいになりつつ自分の文才の無さに幻滅、いや壊滅。活字が好き、本が好きなのは間違いないが本当に入れるのかな新聞社や出版社と泣きたくもなる。


いや、やりたいことはやってきたつもりだがいよいよ働いて飯を食う、自分のケツは自分で拭わねばならぬということに対する得体のしれない恐怖感を感じているのだろう。誰もが通る道、いやたまに通らない人もいるか。


学生時代というのはある意味「採算」を度外視していろいろなことができる期間だ、自分のやりたいことをやれる。働いてからは常に「生活」がついてまわる、そりゃ自分で稼げるようになればやりたいようにやれるかもしれないが・・・昔は早く大人になりたいと思っていたのに大人の入り口をノックしてみりゃピンポンダッシュ、出てくるのは社会という名の怖いおじさん、いやこっちを見つめないで。


そんなこんなで如月の夜、小学館エントリーシートを提出し、集英社エントリーシートを書く為と称して本をどっさり買う、散財、少し後悔。ついでに寄ったサクラヤで信長の野望最新作が出ているのを発見、やけくそになって買おうと思うが思いとどまる、頑張った俺。


しかし買うのは時間の問題のような・・・


どうやらあまり体調よろしくないようで、心労か、先が思いやられるとか思いつつ寮へ、布団に寝っころがる。買ってきた本の中の一冊『ジョッキー』を読む、中々の快作、競馬を舞台にした作品で、実によくできている。しかしなぜフリーでその日暮らしのジョッキーが女子アナにモテるんだ、と突っ込んでおく。


創作意欲をかきたてられ、少しの間プロットを書く、よくできた。こういうときが一番幸せである、できれば物を書いて食っていきたいなあ、と夢を見る。


なぜか最後に借りてきた『星界の戦旗Ⅲ』のビデオを2巻を見る。原作はやたら続編の刊行が遅くて忘れた頃に出るのだが、アニメのできは毎度毎度たいしたもんだ、すごく綺麗なできであった。


そんなこんな如月の夜、冷える空気、せめて心まで冷えないようにしたいもんだと思いつつ布団に入る。