それぞれの年末


28日、田舎に帰る。半年振りだが特に何も変わっていなかった、夏に帰ったときは街で唯一のビデオレンタル屋が潰れるという故郷の衰退を目撃したが、今回は合併前の駆け込みで着工した誰が行くのかわかんない図書館が完成しかけているくらいである。


とりあえず帰って2日、3日はグタグタしてみた。とりあえず本を買ってみた、買ったのはなぜかはわからんが司馬遼太郎の『夏草の賦』の上下二冊である。四国の戦国武将である長宗我部元親について書かれた本で、人間の情熱について書きたかったらしい。四国統一の野心に燃え、四国の野を駆け巡る若き日々、信長との同盟から対決へ、不意の本能寺で一躍勇躍するかと思いきや機会を逸す。この時、息子の信親が積極的に打って出ようとするのに対し、元親はそれを押しとどめる。年を取り少しずつ守りに入っていく人間の様子が分かる。やがて畿内は秀吉に統一され、四国はその侵攻を受ける、最後の意地で秀吉に戦いを挑むが数と装備に圧倒され、やがて家臣によって降伏するよう説得され、降伏、四国統一は露と消えて土佐一国の領主となる。秀吉の家臣として従順になっていく元親、やがて運命の九州征伐を迎える。依然から元親に恨みを持っていた仙石秀久の強引な用兵によって、長宗我部軍は危機を迎え、元親は僅かな近習とともに戦地を逃れ、信親は壮烈な討ち死を遂げる。元親は嘆き悲しみ、家臣にその遺体を取り戻してくれるよう家臣に哀願する、既にこの時元親は武将としてのすべてを失っていたのだろう。この後彼はあまり外に出ず、朝鮮出兵においても軍議に出ることはほとんどなかった。末子を跡継ぎに指名しいらぬ混乱を引き起こし、関が原の戦いを前にして何の指示もせずに死んだ。はたしてこの人の一生とはなんであったのか少し考えさせられる。


この他にも井上靖の『風林火山』も読んだ、これも薄いものの重厚でよかったと思う、やっぱ名作家の作品は読みやすいと思う。


そんなこんなで本ばっかり読んでた、他にも『里見義堯』という小説も読んだ。北条氏に何度も対抗した千葉県の戦国武将である、非常に義に篤かったそうでそういう意味で北条氏に対し勝ちきれなかったのかもしれない。しかし父を討たれ、従兄弟にあたる主君を討ち果たして安房から上総そして下総へと勇躍し、二度の国府台での敗北、城一つまで追い詰められてもしぶとく蘇ってくる「負けない」武将という雰囲気がなんとも味わい深かった。ストーリーだけ見れば少し地域が小さいだけで、信長や家康等の英雄と変わらない波乱万丈の人生である。オビには「敵は一万余、味方は二千五百」、信長の野望ではへっぽこ武将だと思っていた人物の感涙の物語でありました。


晦日から元旦にかけては、中学時代の友人とやんややんやと騒いだ、近くの神社まで歩いて行く途中で遊園地の方向から花火が上がる、とりあえず騒いで神社へ向かいおみくじやら引いてみる。蕎麦やら甘酒もいただいた、その後は朝までぐたぐたしゃべる、友人の車で朝帰宅。


午後から『男たちの大和』を見に行った、感想は後程、少しいまいちだった気がする。しかしこれに触発されて『父・山口多聞』というミッドウェーで亡くなった提督についての本を買ってみた。この他にも何冊か読んだが、少し書きつかれたのでまた明日にでも書きます。とりあえず本年もよろしゅうたのみます。