『近鉄球団、かく戦えり』日経ビジネス人文庫 浜田昭八著


ともかく近鉄といったら買い、買いである。


球団が無くなって1年経つくらいなのだが、遠い昔のことのようにも思える。そんなに多くない自分の趣味を奪われた苦い記憶として、しっかりと頭の中に焼きついている。内容はさほど濃くはないが、近鉄球団の成立から、草創期の苦しみ、初優勝へ、10.19、奇跡の代打満塁逆転サヨナラ優勝ホームラン、そして球団の消滅・・・まぎれもない一つの国の歴史であったと感じた。強国となることもなく、為政者の苦心により輝いた時期もあったものの、覇者になることは後一歩で叶わず、そして静かに滅び去っていく、果たして何人が心に留めるのかこの球団を、できれば死ぬまでこの球団を見届けてみたかった。いったいいつになったら優勝してくれるのかと、そればかり考えていた。リーグ優勝を見たときは、家でガンガン飛び上がって、思わず泣いた、そんな人が日本には何人かはいたと思う、例えどんな弱小球団でも、愛する人はいっぱいいたのだ。


そんな合併の最中で、騒ぎを面白おかしく取り扱ってからかったり、近鉄なんて弱小でファンも少ない球団はいらないなんていった球界関係者もいた。そういった人々が牛耳る日本球界が、今大リーグの危機に晒されている。


近鉄の末裔の選手たちの活躍を見つつ、球界がよくなることを願ってやまない。